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星のふたつの会に行ってきて

以前のブログで、スターネットの菜種油のことをアップしたことがあった。
あれから、いろんな縁があって去年の5月に友人たちと益子に行った。スターネットの本店と
その代表の馬場浩史さんのアトリエ・工房・自宅である建物ZONEを訪れた。ご本人と会い、
ちょうど届いたばかりという、静岡からの新茶を丁寧にいれていただいた。
短い時間ではあったものの、とても貴重なお話を聞くことができた。
今でも、そのひとつひとつを覚えている。

益子という土地のこと。
ご自身が以前からここに至るまでのことを、その思いと一緒に。
これからのこと、その年の土祭でやろうとしていること。
私は、その話の隅々まで馬場さんの感覚、意識、に刺激をうけたのでした。

スターネットで働いている人たちは、とても丁寧で、扱う品々ひとつひとつに
意識を注いでいた。

その馬場さんが この7月に他界された。
去年お会いしたときから実は病だったらしい。

先日の9月19日の満月の日、益子の私たちに新茶をいれてくれたZONEで
昼から「馬場浩史 星影の俤を偲ぶ會」があった。

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この日は、集まった人たちにとって、とても貴重なときだったと思います。
この日1日限りの展示がふたつあったのです。
ひとつは去年行ったときには入れなかった、ZONE近くのrecodeという建物内で、生前馬場さんが
撮りためていたという写真の一部の展示が。

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recode内は、外光の差し込み方もすごくきれいで、スタンドピアノがあり、
たまに音楽会も催されていたよう。

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愛犬のハク。
去年訪れたとき、私たちには吠えなかった、とても美しい犬。
夜の会のとき、最後に登場したけれど、主人が亡くなったことを知っているんだろうか。。

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recode内の天井。
梁材などはたしか、古い家が建て替えになったときに出た廃材の流用ということを
聞いたことがある(ここもそうかどうかは確認していない)

展示のふたつめは、スターネット店内の2Fのarkで。
馬場浩史とハンディクラフト〜オーガニックハンドルームという思想〜

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そこに最初に掲げられていたメッセージというか、この手仕事ひとつひとつへの
思いが書いてあり。
スターネットで取り扱っている商品の革製品、布製品、衣服、他などは
馬場さんのもとに来た人たちの手仕事。益子の陶器、益子で革製品を作っている職人、
草木染めをする人たちの丁寧な仕事があらためて紹介されていた。

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馬場さん直筆のスターネットのものづくりのこと。









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この日の夕暮れは、とてもきれいだった。
夕日の輪郭がくっくりと出ていて。

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18:00から、「星降る夜會」という、馬場さんと親交のあった方々の主催で
益子の人たちから、ご縁のあった方々までZONEに集まり、偲ぶ会があり。
新米で握られたおむすびと、これも丁寧に美味しく炊かれた椎茸煮や
お漬物が振る舞われた。朴葉の葉だろうか、それが一人一人のお皿。

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この19日は中秋の名月で、満月。
美しい月明かりと、すすきのライトアップが場の演出。(馬場さんの演出だと思う)
ずっと心地よい音楽と虫の音が流れ、途中からは
ご縁が深かった方々のお話を聞くことができた。
先ほどの、オーガニックハンドルームにも参加している革職人の方、
スターネットのお店がある土地の元々の関係の方、
野菜を育てている農園の方たちのお話はとっても素晴らしくて温かいものだった。
馬場さんの人望の厚みを感じる。人を育てる、人の持つ可能性を引き出すということ。

馬場さんが益子の土地に貢献といったら仰々しいけど、されてきた事は
本当の意味での地域・環境への功績。
文字にしてしまうと、なんだか薄い・・。
普段、ものつくりが要のメーカーで働いていて、
「ものつくり」って本来は「ひとつくり」のことなのではと思っている。
センスの良い、いつまでも持っていたい生活の中での道具は
作る人の感覚や作る人の気持ちひとつで風合いが決まると思う。
スターネットのオーガニックハンドルームの品々には、
作った人たちの温かさと愛情があるなと思う。
そんな「ひとつくり」をしてきた馬場さん。

ふと、このような場を自分の故郷にもあったら、、と思った。
ここに来ると、みな思うのではないかな。
この会に行き、感じたこと、思ったことは多い。
生き方、暮らし方の原点に立ち戻り考えていきたい。

星が霞むくらい、明るかった月明かり。
馬場さんが亡くなったことは、非常に悲しい。
去年、会ったときに馬場さんから言われたことは忘れない。
だから、これからやるべきことが大事なんだと、大切なことなんだと。
小さいことで気を揉んでいたことやちょっとしたイラッとくることなんかが、
どうでもよくなるような、そんな気をもらってきた。
この日も背中を押されたような気がした。

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献杯の杯の底には星が。

地方の産地のことは、いつも話題になる。
つい数日前も、産地関連のシンポジウムに参加したばっかりだったが、
馬場さんが、スターネットが益子で現していることが
実は、どこの地方や産地にも必要なことなんではないか。。
都会のセンスを持ってきて、ナチュラル系でオシャレなカフェをつくることではなく
(これは、星降る夜會で益子の誰かが話していたこと)

その土地の人と、その土地のものと一緒につくること、生まれる場をつくること
なんではないかと。
簡単なことではないです。もちろん、馬場さんだから出来たこと。
でも、発起すること、基本的な思いは同じかもしれないから。

私も栃木・益子には馬場さんと出会う前までなにも縁はなかった。
でも今では、年に一度は行きたくなる場になった。

ちなみに、読売新聞の栃木版に馬場さんのことが記事になっていた。
by htani1223 | 2013-09-22 22:12 | つれづれ
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